予防接種
適切な予防接種で免疫をつけることで、感染症の発症を未然に防ぐことができます。
当院では成人の基本的な予防接種と渡航者や医療従事者向けの予防接種に対応しています。
その他のワクチン接種に関してもご相談を受けています。
当院で対応しているワクチン
1年を通して対応しているワクチン
流行期に対応するワクチン
次期は令和6年10月以降の対応を予定します。
など
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌は、乳幼児期に美咽頭に感染後定着し、乳幼児や65歳以上の高齢の方の肺炎や中耳炎や副鼻腔炎などの感染症の原因となる細菌です。高齢者や基礎疾患を有する方では肺炎球菌性肺炎は重症化しやすく、わが国の死因の上位を占めています。
肺炎球菌に対するワクチンには13の血清型に対応した13価肺炎球菌ワクチンと23の血清型に対応した23価肺炎球菌ワクチンがあります。
13価肺炎球菌ワクチンと23価肺炎球菌ワクチンは接種歴に応じて使用されます。
RSウイルスワクチン
RSウイルス感染症はRSウイルスの感染によって引き起こされる呼吸器感染症です。 RSウイルスワクチンは、RSウイルス感染症の発症や重症化を防ぐ目的で開発されたワクチンです。60歳以上の方に接種できるワクチンです。
RSウイルス感染症について
健康な成人はRSウイルスに感染しても軽症で、多くは風邪のような症状で自然軽快しますが、高齢者や喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心疾患、糖尿病などの慢性の基礎疾患がある人、免疫機能が低下している人がRSウイルスに感染した場合は、肺炎などを引き起こし重症化した場合、入院・死亡の原因となります。
高齢者、慢性の基礎疾患(喘息、COPD、心疾患など)、免疫機能が低下している方は、RSウイルス感染症の重症化リスクが高くなりますのでワクチンによる予防が非常に重要です。
水痘・帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹は、胸部や腹部などの皮膚に帯状に痛みを伴う水疱が生じる皮膚疾患です。
水痘・帯状疱疹ウイルスに感染し水痘を発症した後に、神経に潜んでいたウイルスがウイルス特異的な免疫低下時に再活性化して発生するとされています。
成人のほとんどが水痘に感染していて、ウイルス特異的な免疫が年齢と共に低下し80歳までに1/3の方が帯状疱疹を発症する可能性があるとされています。
帯状疱疹ワクチンの接種はウイルス特異的な免疫を取り戻し、発症リスクを軽減できます。50歳以上の方や免疫力の低下した方には予防接種が有用です。
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、水疱性の発疹や痛みを伴う炎症性皮膚疾患(皮膚炎)です。帯状疱疹はその名前の通り、水疱帯状の発疹が特徴であり、背中・腹部・胸部などの体の側面に沿って現れます。
帯状疱疹は水疱瘡ウイルスによって発症し、水疱瘡(みずぼうそう)を経験した人が再び活性化されたウイルスによって感染することが多いです。先に痛みやかゆみ、疲労感などの症状が出て、その後、水疱帯状の発疹が現れます。免疫力が低下したりストレスがかかったりしたときに発症しやすい傾向にあります。
発症を予防するためには帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されます。これにより、帯状疱疹の発症リスクを軽減できます。特にご高齢の方(65歳以上)や免疫力の低下した方には予防接種が有用です。
また、日々の生活では、充分な睡眠、バランスの取れた食事、適切な運動など、健康な生活習慣を維持することで免疫力を高めることが重要です。
海外渡航者や医療従事者ワクチン
海外渡航や医療従事者やその研修における感染予防に用いるワクチンとしては以下のものに対応しています。
それぞれの方の状況に応じて、接種内容やスケジュールを検討します。
事前受診でご相談ください。
- 麻疹・風疹ワクチン
- おたふくかぜワクチン
- 水痘・帯状疱疹ワクチン
- A型肝炎ワクチン
- B型肝炎ワクチン
- 破傷風トキソイド
- 狂犬病
- 日本脳炎
など
インフルエンザワクチン
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる感染症で冬期に流行します。
「風邪」と同じように、くしゃみ・鼻水、咳、喉の痛みとった症状が現れますが、38℃を超える高熱、倦怠感(疲れ、だるさ)、筋肉痛など、単なる風邪よりもその症状は強いのが特徴です。
乳幼児やご高齢の方、妊婦さん、基礎疾患のある方は、重症化しやすい傾向にあります。
中には亡くなってしまう方もいるため、ただの風邪と同じように扱うのは不十分となりえます。
インフルエンザを予防するためには、手洗いやうがい、人混みを避けるといった基本的な感染対策が有効です。そして、ワクチンを毎シーズン接種しておくことが最も確実な予防策になります。
ご自身はもちろん、ご家族に重症化リスクの高い方がいる場合は、インフルエンザワクチン接種を推奨します。
仙台市高齢者インフルエンザの予防接種について
新型コロナワクチン
コロナウイルスは、人や動物に広く感染症を引き起こすウイルスです。その中でも人に感染する「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」による感染症を「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」と呼んでいます。
新型コロナワクチンについて
新型コロナワクチンについては、有効性や安全性が確認された上で薬事承認されており、さらに、国内外で実施された研究などにより、新型コロナウイルス感染症にかかった場合の入院や死亡等の重症化等を予防する重症化予防効果が認められたと報告されています。
厚生労働省のホームページでご確認をお願いします。
令和6年度からは、以下のとおり制度が変わります。
対象
- 65歳以上の方および60~65歳未満で心臓機能等に障害があ
る方は、自治体が実施する「定期接種」として、10月から1月ま での間に1回接種を受けることができます。
接種費用は原則、一部自己負担となります。 - 定期接種の対象とならない方や定期接種の実施期間外に接種を希
望する方は「任意接種」として接種を受けることができます。接種費用は全額自己負担となります。
海外渡航外来
海外渡航外来は、海外への渡航を予定されている方が渡航先で安心して過ごしていただくための診療を行う外来になります。具体的には海外出張や留学などで健康診断や予防接種の準備などを行う外来になります。
海外では日本と違い衛生状態が悪かったり、日本ではまれな感染症の危険があったりと日常生活にあたり様々課題があります。日本国内は予防接種が充実しており、命を脅かすような感染症を意識する機会は少なくなっていますが、「狂犬病」「マラリア」「腸チフス」などの感染症が流行する国はまだまだ存在しています。それに対して日本では諸外国に比べて「海外渡航前のワクチン接種が十分でない」ことが指摘されています。
渡航外来では、ご旅行を安心して楽しんでいただけるよう、お仕事に支障をきたさないよう、ご留学を安全に過ごしていただけるように、トラベルクリニックとして渡航前の準備をお手伝いします。
診断書の作成に必要な乳幼児期のワクチン接種歴などの情報の準備や必要な予防接種のためには月単位の時間が必要となる場合があります。十分な時間的余裕をもってご相談ください。
診療内容の例
- 渡航前・帰国後ワクチン(定期接種を除く)の相談、接種
- 渡航時健康診断(血算・生化学検査、心電図、胸部レントゲンなど)
- 渡航先の医療環境の検討